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コロナ禍受診控えで医療経営苦境

新型コロナウイルスの感染拡大が、医療機関の経営に打撃を与えている。感染を恐れる外来患者が受診を控え、赤字を計上するクリニックも。国や自治体の財政支援は十分とは言えず、地域を支える医療機関は苦境に立たされている。その中で感染が疑われる発熱患者の診療も実施し、医療現場の疲労の色は日を追うごとに濃くなっている。

堺市西区の「耳原鳳(おおとり)クリニック」は、新型コロナの陽性患者を受け入れる医療機関ではないが、内科や小児科など毎日6~8診の外来診療を行う大型診療所だ。

国内で新型コロナが広がると、感染のリスクを恐れて受診患者の数が落ち込み、昨年春の「第1波」では成人患者が前年より1割減少し、小児患者は5割近く減った。減少傾向は今も続き、4~10月までで2300万円の赤字を計上した。

一方で、不安を抱える発熱患者の診療を第1波から続けている。体温チェックや呼吸器症状の有無などを調べた上で隔離室に案内し、防護具を着た医師や看護師が診療に当たってきた。

さらに準備を重ねて新型コロナとインフルエンザの両方の検査を行う体制を整え、昨年12月に「診療・検査医療機関」の指定を受けた。

院内で検体を採取し、検査機関にPCR検査を委託した場合、1万9500円が得られる。ただ同クリニックが依頼している検査会社への委託料1万6千円を差し引くと、残るのは3500円。

同クリニックの田端志郎所長(57)は「医療は利益率が低い業種で、患者が減ればたちまち経営は成り立たなくなる。多大な労力や時間をかけて診療・検査医療機関の役割を果たすより、普通の医療をやる方が経営的なリスクは少ない」と説明する。

政府に対して望むのは、一部の医療機関に不十分な財政支援をするのではなく、全ての医療機関の経営を守るという方針を取ること。田端所長は「自分たちが思う存分、コロナと闘っても、クリニックはつぶれないという安心があってこそ医療機関として必要な力を集中できる」と訴えている。

闘える財政支援を コロナ禍受診控えで医療経営苦境 2021年01月10日(大阪日日新聞

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