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山月工房の和泉蜻蛉玉

大阪・泉州北部では奈良時代以前よりガラス玉が作られ「泉州玉」「さかとんぼ」と呼ばれていた。明治期に製造技術が確立、現在の大阪府和泉市周辺はガラス玉の産地となった。昭和に入り安価な中国産におされ担い手が少なくなるなか、伝統的な技を受け継ぐのが山月工房(和泉市)だ。

バーナーから噴き出る火に、数本束ねた色つきのガラス棒の先を近づけ、割れないよう徐々に熱していく。ゆっくりと溶け出したガラスを、先端に剥離剤を塗った細いハリガネを回転させて巻き取る。

1本のガラス棒を溶かしてガラス玉にする場合に比べ、数本束ねることで玉の表面に色の変化が出やすい。ただ溶け出すガラスの量が多くなるとでこぼこになりやすく、きれいな球体にする技が求められる。同社代表で大阪府伝統工芸士の松田有利子さんは「ガラス棒の位置や火の具合の調整に気を配る」と話す。

松田さんは幼い頃から先代である父の工房に通った。地元独自の技法を継承する職人が父のみとなり「このままでは伝統が途切れてしまう」との危機感から後を継ごうと決心した。伝統の技を歴史に残そうと文献などを調べて約10年。和泉蜻蛉(とんぼ)玉として2002年に大阪府の伝統工芸品の指定を受けた。

玉を使ったブレスレットや根付けストラップなど20種類ほどを取り扱う。世界遺産の百舌鳥(もず)・古市古墳群の前方後円墳をかたどったお香立ても開発。

一連の商品は高島屋の堺店(堺市)で販売している。新型コロナウイルスの感染拡大で同店が一時的に休業したことを契機に、年内には自社ホームページでも販売を始める方針だ。

束ねたガラス溶かし球体 山月工房の和泉蜻蛉玉 2020年06月29日(日本経済新聞

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